2025.04.01 #エンジニア #特集

【インタビュー】変革の時代を生きる

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株式会社エーエルジェイ
DXソリューション事業本部 本部長
ALJ DXTech株式会社 代表取締役

福嶋 将Fukushima Sho

【経歴】高等専門学校卒業後、新卒で教育系通信販売を行う大手企業の子会社にエンジニアとして入社。2020年5月にALJ DXTech株式会社を設立し、現在は、親会社である株式会社エーエルジェイの本社技術部門の中枢であるDXソリューション事業本部 本部長を兼任。趣味は筋トレ。


今回は、ALJ DXTech株式会社代表取締役 兼 株式会社エーエルジェイ DXソリューション事業本部 本部長の福嶋さんから「変わっていく時代とDX」というテーマでお話を伺いました。

ALJ DXTech 沖縄移転の真意とは?

2023年6月、DXTechの本社を沖縄に移転した理由について教えてください。

当社では、福利厚生の一環として一定基準を満たしたエンジニアに完全テレワークという働き方の選択肢を提供しています。その中で、自宅で働くことを選ぶ方もいれば、自然豊かな場所で働きたいという方もいます。こうした希望を叶えるために、サテライトオフィスを設置したり、社員同士の繋がりを支援したりして、より働きやすい環境を整えることが目的の一つです。
もう一つの大きな理由は、沖縄全体でDX化を推進する動きがあることです。特に、DX化に対する補助金や助成金制度が充実している。ただ、これらの制度を活用するには、沖縄に拠点を構えてから2年が必要という条件があるため、将来を見据えた戦略的な移転となりました。あとは個人的に私自身が沖縄の人が好きなのもありますね(笑)

沖縄でビジネスを行う優位性があれば教えてください。

沖縄は、首都圏に比べるとまだDX化の進展が遅れている分、ビジネスチャンスが多いと感じています。また、最大の魅力は、沖縄の人々の温かく優しい人柄です。フランクで親しみやすい文化があり、人と人との繋がりがビジネスにおいても大きな強みとなります。紹介や縁による新しい機会が生まれやすい点は、他の地域にはない沖縄ならではの優位性だと思います。
さらに、観光地としての知名度が高い沖縄は、国内外からの注目度が非常に高く、事業展開の際のマーケティングにも活用しやすい場所です。こうした多様な優位性を活かして、今後さらに沖縄でのビジネスを拡大していきたいと考えています。

今年は沖縄ResorTech EXPO2回目の出展だったと思いますが、所感はいかがでしたか?

非常に良い成果を得られたと感じています。昨年は初めての出展ということもあり、右も左も分からない中で準備を進めていましたが、今年はその経験を活かし、より効率的かつ計画的に準備を進めることができました。昨年とは大きく異なり、今回は沖縄に縁のあるメンバーがいて、その繋がりから多くの方々にブースに足を運んでいただくことができ、結果として新しい繋がりが生まれる場となりました。
また、来場者の方々と直接お話しする中で、沖縄ならではのニーズや課題感について具体的な声を聞けたのも非常に有意義でした。さらに、紹介を通じて、我々のサービスに興味を持っていただけるクライアント様も多くいらっしゃいました。このように、今年の出展は非常に手応えを感じられる結果となり、沖縄の市場でビジネス拡大の可能性をより強く実感する機会となりました。

次回以降の出展はどうする予定ですか?

今年の出展を通じて、いくつか課題も見えてきたため、次回はそれらを改善し、さらに効果的なアプローチで臨めるよう準備を進めたいと思います。具体的には、より多くの来場者にブースにお越しいただけるような仕掛けや、実際の成果をより効果的にアピールできる展示内容を検討したいと考えています。
この展示会でまずはしっかり基盤を固めて、将来的には東京ビッグサイトで行われている、もっと大きな展示会にも出展して行きたいと思っています。

移り変わる時代にどう対応する?

昨今、「DX化」という言葉が当たり前に使われるようになってきましたが、
福嶋さんの考える「DX化」とはなんですか?

そうですね、経済産業省が定義しているんですが、「DX化」とは簡単に言うと、企業がデータやデジタル技術を使って、顧客や社会のニーズに合わせて、製品やサービス、さらにはビジネスモデルそのものを進化させていくことなんです。加えて、単に技術を導入するだけじゃなくて、業務のやり方、組織の構造、働く人たちの意識とか、企業の文化そのものを変えて、競争力を高めることが求められているんです。
例えば、よく「紙の契約書をオンライン化しました!」とか「業務フローをシステム化しました!」みたいな話を聞くんですけど、それだけだと「便利になった」で終わりかもしれません。でも、そこに加えて、顧客とのやり取りがスムーズになって、契約スピードが速くなった結果、ビジネスチャンスを逃さずにすむとか、業務負荷が減った分、新しい取り組みに時間を使えるとか、そういったプラスの変化が生まれて初めて「DX化した」と言えるんじゃないかと思います。

―DX化を進めるうえで、大事なポイントは何でしょう?

やっぱり「意識改革」ですね。一人ひとりが「今のやり方を変えるって大事だな」って思えるかどうかが鍵だと思います。ツールやシステムを導入するだけで満足してしまうと、現場に馴染まなかったり、結局使わなくなったりすることもありますから。経営層から現場まで、全員が新しい価値を創るんだっていう意識で取り組む必要があります。

ChatGPTをはじめとした生成AI技術が台頭していますが、ALJ技術部門の事業本部長として、どう考えていますか?

生成AIの進化には目を見張るものがありますよね。本当に「ただコーディングができるだけ」のエンジニアは、これからの時代では厳しい立場に追い込まれると思います。エンジニア個人として考えると、生成AIは確かに脅威です。しかし、経営者としての視点から見ると、IT業界が直面している深刻な人材不足問題を解決する可能性を秘めた強力なツールでもあります。
だからこそ、ALJとしては生成AIを単なる補助的なツールにとどめず、積極的に取り入れて活用する姿勢が重要だと考えています。同時に、こうした変化の中でエンジニア一人ひとりが「自分の市場価値をどう高めるのか」を意識しながら成長し続けることが、これからの時代で生き残るために必要な要素だと思っています。

一人のエンジニアとしては、生成AIとどう向き合っていくべきだとお考えですか?

福嶋 生成AIが得意とするのは、効率的に処理や分析を進めることであり、これに対して人間が価値を発揮できる領域は「共感」と「提案」だと考えています。生成AIは人間の「感情」に基づく深い理解や繊細なニュアンスにはまだ対応が難しい面があります。
例えば、お客様のビジネスに最も適した解決策を提案することや、お客様の価値観に寄り添った提案をすることなど、こうした「人間らしさ」がエンジニアに求められる時代が来ていると感じます。単に技術を提供するだけでなく、「どれだけお客様の本質的なニーズに応えられるか」という視点を持つことが、今後さらに重要になっていくと考えています。

それにあたって会社全体で現状、何かされている取り組みはありますか?

福嶋 情報共有を活発に行っています。たとえば、毎週のグループ会では、「この業務でこう使った」「この分野ではこう活用できる」といった生成AIの具体的な活用事例を共有する時間を設けています。また、社内チャットでも「本の要約におすすめの生成AIツールは何ですか?」といった、日常的な会話の中で生成AIが当たり前のように話題に上がっています。
こうした取り組みを通じて、生成AIが全社的に浸透し、どの部署でも自然に活用できる環境を整備しています。さらに、単なるツールの共有にとどまらず、「生成AIをどう使えば自分たちの業務効率が上がるのか」という実践的な知見を全員で磨き合う文化づくりも進めています。

最後に、これからのALJの構想について教えてください。

福嶋 こういう時代だからこそ、些細な変化にもスピーディかつ柔軟に対応できる力が求められていると思います。現在では、フルスクラッチで自社に最適化したシステムを導入するお客様よりも、コストやスピードを重視されるお客様が増えています。そのため、これまで強みとしてきた、提案から要件定義、開発、運用保守までをワンストップで提供するサービスに加えて、時代のニーズに合ったパッケージ型ソリューションの提案にも力を入れています。さらに、生成AI技術を活用して生産性を向上させ、一人一人がバリューを発揮できる環境を整備して行こうと思います。

ありがとうございました。