2021.04.24 #教育

【対談】アジア共通の研修制度を実現するALJ統一基礎研修プログラム「ASEP」

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株式会社エーエルジェイ 経営企画本部長
田村 梨佳 Tamura Rika

2010年、キャリア採用により技術職として入社。大規模開発を主とするIT事業本部(現ICT事業本部)にて、大手金融系企業のシステム部門へSEとして従事。2012年、受託開発を専門とする本社開発部門へ異動、リーダー就任。官公庁をはじめ大手メーカー企業等、多くのプロジェクトに携わる。2014年、ALJグループ事業拡大に伴い、役員と共に人事専門部署の創設に参画。人事部主任として技術職からキャリア転向。2016年 本部長に就任し、人事・採用部門を統括する。2020年、コロナ禍によるALJグループ組織再編にて、人事、広報、情報システム、品質・セキュリティ部門を統合一元化し、経営企画本部 本部長に就任。2021年 併せて、経営戦略本部 サステナビリティ推進統括を歴任し、SDGsと連動した次世代のALJビジョン創出の一翼を担う。

ALJ Education Plus 株式会社 CEO
山本 篤美 Yamamoto Hiromi

2006年 株式会社アドバンスト・リンク・ジャパン(現 株式会社エーエルジェイ)創業1年目に技術職として入社。2010年 大規模開発を主とするIT事業本部(現ICT事業本部)主任に就任。2013年 合同会社プラスアイを設立し独立。スマホアプリ開発及びスクール事業を開始。 2015年 ALJグループにボードメンバーとして復帰参画。IT教育専門会社 ALJ Education Plus株式会社設立、代表取締役就任。2016年 LPI-Japan アカデミック認定校許認可。2019年 LPIC-日本支部 Platinum Partner許認可。2020年 DX技術専門戦略会社 ALJ DXTech株式会社設立、代表取締役就任。2021年 株式会社エーエルジェイ執行役員就任。現在、グループ会社経営と並行してALJグループ中枢の経営戦略本部において全ALJグループの教育部門を統括する

グローバリゼーション推進のため、海外にグループ企業を展開し、海外人材の採用を積極的に行なっているALJでは、独自の新入社員向け研修、ALJ統一基礎研修プログラム「ASEP(エーセップ)」を創出しました。プログラムを構築したお二人にASEP立ち上げの経緯や具体的な研修内容についてインタビューを実施しました。

ASEPはALJのビジョンを実現するために重要な研修

-ASEP創出の経緯を教えてください。
田村 「ASEP(ALJ Standard Education Program)」は、ALJのビジョン「人口減少・少子高齢化問題を見据えた独自のビジネスモデル創出」を実現するうえで必要なキーワード「グローバリゼーション(注1)」と「ダイバーシティ(注2)」を体現するために重要な教育であると考えています。
世界中の優秀な人材が集まる企業群=同志群を創るため、国内外で海外人材を積極的に採用し、技術やコミュニケーションの品質に差異のないICTサービスをお客様に提供すること、そしてその成果や貢献度を平等な基準で評価していくためには、国籍を問わない「品質標準化」をおこなう必要がありました。
まずは、教育のプロである山本さんと、社員教育計画を担う人事の私で、ALJの考えるIT人材の基本品質について協議を重ねました。日本社会で働くうえで必要な「社会人基礎知識」、業界で生き抜くための「IT技術基礎知識」、そしてALJのビジョンに賛同して集まった多様な仲間たちとチームで成果を出すための「OJT」。これらの基準やチェックポイントを設定し、基準をクリアできる人材を輩出するため、ALJグループは、【ALJ統一基礎研修プログラム「ASEP」】のサービスを開始する運びとなりました。ALJの新入社員は、研修時にASEPを無償で受講することが可能となります。

人生100年時代の社会人基礎力

-研修ではどのようなことを行うのでしょうか?
山本 ASEPは、「日本の社会人として必要な基盤能力を身につけること」「エンジニアとして現場で必要な基礎技術を身につけること」を研修のゴールに設定し、[Basic-1][Basic-2][ALJ STANDARD] の3つのステップに分かれています。[Basic-1]では、社会人基礎知識とIT技術基礎知識を学習しますが、社会人基礎知識においては、経済産業省の推進する「人生100年時代の社会人基礎力」の定義である「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)および自己認識と振り返りによるキャリア形成をカリキュラムに包含し、さらにダイバーシティについて考え学ぶワークショップ等も実施しています。IT技術基礎知識においては、IT用語やプロジェクトの型、ドキュメントの種類など基礎知識のインプットに始まり、模擬プロジェクトを通して、ITリテラシーや品質基準について学習していきます。各章毎に試験を設けており、すべて合格で[Basic-2]のステップへ進みます。[Basic-2]は、社内でのOJT研修となり、ALJグループ内で実際に稼働している保守プロジェクトに参画し、先輩社員の指導のもと、実践経験を積みます。プロジェクトチームは日本人、外国籍混合チーム構成で、[Basic-1]で学習した内容をアウトプットできる環境です。[Basic-1]の実践レベルをはかるチェックポイントを設けており、基準をクリアすれば、[ALJ STANDARD]の修了証が授与され、晴れて研修生からプロとして羽ばたいていく、という仕組みです。

特徴的なダイバーシティ研修

-ダイバーシティ研修とはどのような内容でしょうか?
山本 ダイバーシティ研修は育った環境や、文化の違いを理解しあうことを目的とした研修です。例えば、異なる国の人々が同じプロジェクトで働くことになった場合、始業時間前に準備をして待っている人もいれば、丁度に来る人、少し遅れて来る人など地域や文化によって時間管理に対する考え方が違います。そのような考え方や行動の違いをアンコンシャス・バイアスの視点から紐解いていき、どのように動けばベストな結果が得られるのかを考える研修です。
田村 この研修により、ALJグループのバリュー(価値観・行動指針)である、すべての人々の価値観を尊重する、というマインドが醸成されることに期待しています。

-この研修を終えた後はどのようなキャリアを歩むのでしょうか。
田村 ALJの社員として社会人の基礎知識を有し、技術やコミュニケーションにおいて品質基準を満たした人材として、社内外のプロジェクトに参画することが可能になります。お客様先のプロジェクトにアサインする場合、この研修はスキルの保証として役立ちます。そしてまず1年は先輩メンターの指導やアドバイスを受けながら、自身の得手不得手を理解し、今後進むべき方向性を定めていきます。
山本 研修修了後も、年4回の定期的なフォローアップ研修を通して学習した基礎が身についているかを計り、そこに課題があれば現在と理想のギャップを埋める行動やマインドを教示していきます。

-研修を終えると、組織の一員として実際のプロジェクトに就くわけですが、意識すべきことは何だと思いますか?
田村 「チーム」であるということを常に意識してほしいです。ALJという組織(チーム)にはじまり、それぞれの部門、プロジェクト、その先へと、常にチームで動いている。仕事は一人では完結しないので互いをリスペクトし尊重し合い、協力していってほしいと思います。そのためには、相手に感謝し、謙虚な姿勢でマナーやモラルを守り、研修で学んだことを素直に活かしていって欲しいですね。「素直」「謙虚」「感謝」の3つが大事であると私も研修で教わりました。時が経って、まさにその通りだと感じることがよくあります。学んだことを意識して生かしていって欲しいです。
山本 私は、ALJの一員としてビジョンを中心に考え行動してほしいと思います。役職者は会社のビジョンを達成するために計画を立て、社員はその計画をもとに自分の所属する場所で能力を発揮し、実行するのが組織であると思います。それらを意識することが始まりであるため、これからも社員に働きかけていこうと思っています。社員一人一人がALJという組織を意識しビジョンを達成するために行動することでALJグループ構想の実現と、国籍や国境の垣根の無いボーダレスな組織の形成を実現し世界の優秀な人材が集まる企業体の形成を実現していくことができると考えています。

-ありがとうございました。今後の変化が楽しみです。

(注1)「グローバリゼーション」は国や地域などの枠組みを超えて統合・画一化していくことです。 ALJグループは海外拠点を設立しており、海外と国内のビジネス拠点間で国の垣根なく活発に交流し、価値共創により、シナジーを生みだしています。
(注2)「ダイバーシティ(Diversity&Inclusion)」とは多様性の受容を意味し、個々の「違い」を受け入れ、認め、活かしていくことです。ALJでは国籍や年齢、性別や働く場所などの価値観の違いや、個性を認め合い、個々の能力を正統に評価することを目指しています。