2021.11.01 #人事

【インタビュー】ビジョンを共有し、共創する人材コミュニティ創り

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株式会社エーエルジェイ
経営企画本部

田村 梨佳Tamura Rika

2010年、キャリア採用により技術職として入社。大規模開発を主とするIT事業本部(現ICT事業本部)にて、大手金融系企業のシステム部門へSEとして従事。2012年、受託開発を専門とする本社開発部門へ異動、リーダー就任。官公庁をはじめ大手メーカー企業等、多くのプロジェクトに携わる。2014年、ALJグループ事業拡大に伴い、役員と共に人事専門部署の創設に参画。人事部主任として技術職からキャリア転向。2016年 本部長に就任し、人事・採用部門を統括する。2020年、コロナ禍によるALJグループ組織再編にて、人事、広報、情報システム、品質・セキュリティ部門を統合一元化し、経営企画本部 本部長に就任。2021年 併せて、経営戦略本部 サステナビリティ推進統括を歴任し、SDGsと連動した次世代のALJビジョン創出の一翼を担う。


ALJが求める人物像や、コロナ禍による採用市場の変化、テレワークが普遍化したからこそ求められる能力などを伺いました。

社会全体が変化を強いられた2020年

ー人材採用はどのような変化がありましたか?

 大きくは、「採用市場の変化」「採用手法の変化」「採用要件の変化」この3つではないでしょうか。まず、一つ目の「採用市場の変化」ですが、新型コロナウイルス流行直前の2019年末頃は有効求人倍率が1・57倍、直近2021年1月のデータでは1・10倍(厚生労働省調べ)と、世の中は一時的に売り手市場から買い手市場へと推移しています。しかし、中長期的には人手不足問題解決には何ら影響を及ぼさず、依然、人材不足の状態が続いています。

ー世の中の人材不足に関して、どう考えていますか?

 はい。ALJグループでは、日本の人口減少・少子高齢化問題対策にフォーカスしたビジョン戦略を掲げ、独自のビジネスモデルを創出しています。外国籍、シニア、女性など様々な属性や多様な働き方に着目し、グローバリゼーションとダイバーシティの2つの言葉をキーワードに、日本だけではなく世界で人材確保の仕組みを作っています。
その多様な仲間たちと同じビジョンを共有しながら新しい価値を生み出し、この人材不足の日本に貢献していきたいと考えています。
グローバリゼーションとダイバーシティを実現するにあたり、ALJでは施策のひとつとして、外国籍社員の採用を積極的におこなってきましたが、2020年は世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響により、海外からの渡航が著しく制限されてしまいました。ですが、国内の外国籍留学生の採用では影響なく進めることができており、年々、新卒者の外国籍率は上がり続けています。また、国籍においても多様化してきており、グローバリゼーション、というキーワードが馴染む企業体になってきているのではないかなと感じています。

ー採用手法の変化とはどのようなものですか?

 あらゆるものがオンライン化したことですね。セミナー、会社説明会、面接など、今まで対面で当たり前のようにやってきたことが、突然できなくなって、世の中のWEB化、オンライン化が急速に進みました。ALJの採用活動においても、オンライン対応をおこなっているのですが、応募者の方に面接をオンラインか対面か選択できるようにしています。意外なのは、対面でおこないたいというご要望が多いことです。オンラインでは会社の雰囲気や社員の様子がが分かりづらいため、実際にご来社されることを希望されるようです。もちろん、ご来社いただいた際の検温や消毒、アクリルパーテーションの使用や、会議室の消毒などコロナウイルス感染症対策は万全に行っております。

ー採用要件の変化とは?

 リモートワークが当たり前の時代になって、「自律」「成果」「コミュニケーション」に強い人材が求められるようになりました。
自己マネジメントのできる自律性。そしてリモートでの業務になり、プロセスは見えず、生産性や結果、成果でより判断されるようになります。成果を出すためには情報収集や情報交換、報連相などのコミュニケーションを自らとっていかなければなりません。総合して自己管理能力がある人材が求められるようになっていますね。
ALJでは、そのような適性が高い方は、就業場所を問わない完全テレワーク型の全国(全世界)採用を行っています。チャットやビデオツールで簡単にリアルタイムで繋がることができる時代ですから、固定概念にとらわれず、新しい採用スタイルを取り入れています。

ー今後のIT業界の動向はどのようなものでしょうか?

 まずは大きな問題である「2025年の崖」。
経済産業省が2018年に発表したレポートの中で提言した問題で、2025年までに企業が既存の複雑化・老朽化・ブラックボックス化したレガシーシステムに対しDXを推進しなかった場合、レガシーシステムに起因したシステムトラブルと古いシステムを理解した人材の引退により、日本の経済損失が最大で年間12兆円も生じる可能性があるというものですが、DX化していくためのIT人材が圧倒的に足りない。
そしてこの年には、後期高齢者の人口が4人に1人になる「2025年問題」があり、この二つの問題がクロスする年だといわれています。さらに「プレ・シンギュラリティ」が来るとの主張もあり、2025年は、あらゆる社会課題が顕在化する年になりそうです。
レガシーシステムからDXに置き換わっていく中でエンジニアは従来型IT人材から先端IT人材に変わっていく必要があります。
また、人材の問題としては2030年にIT人材が最大79万人不足するとの予想がされています。大きな変動が予想される中で、日本の人材不足はより深刻になっていきます。ALJが推めているグローバリゼーションとダイバーシティを組み込んだビジネスモデルはこの問題に貢献できるものではないかと考えています。

競争と共創から生まれるイノベーション

ー求める人材とはどのような人ですか?

どんな人に応募してほしいか、というと、ALJのビジョンに共感してくれて、一緒に実現したい!と思い、仲間になってくれる人です。同じ目標を持って進んでいける仲間が多いほど、会社の成長や、ビジョン実現も速度が加速します。
求める人物像は、ひとつは「相手の立場で物事を考えられる人」です。これはサービス業の本質を理解でき、お客様をはじめ、相手が求めていることを考え提供できる人だと思います。もうひとつは「チャレンジを継続できる人」です。急激に変化し続ける世の中で、変化を恐れず、時代に適応し、自らも進化し続ける事こそがチャレンジだと考えています。人間、変化を恐れる生き物ですが、時代の進化は待ってはくれません。

ー社内の雰囲気の良さや制度に惹かれ入社した社員もいますが、具体的な施策を教えてください。

 全社的な取り組みとして「エンジニアファースト」を掲げています。オフィスのフリーアドレス化やテレワーク制度の導入整備を行い、テレワーク制度については、現在(2021.3)、完全・一部テレワーク実施率が84・2%と高水準となっています。福利厚生諸手当は毎年見直しを行い、改善を続けています。
昨年、社内をカフェ調のフリーアドレスに改装し、部門の垣根なくコミュニケーションがとりやすくなったと感じています。ラウンジスペースは多目的に活用でき、プロジェクトの打合せや、プレゼンテーション会、セミナー開催などから、本棚にぎっしり詰まった漫画を読み漁ったり、巨大スクリーンでゲームをしたり。人が集まる場所はアイディアも生まれますので、そういった交流を活性化していきたいですね。また、最近ではIT講師グループや有志の社員による資格取得講座やトレンド技術等の勉強会を開催していたりと、新しいコミュニティが広がりつつあります。

コロナ禍でもボランティアやソーシャルディスタンスを守りながらのイベントを企画し、社内の雰囲気を盛り上げている

ー平等な評価を掲げていますがどのような仕組みがありますか?

 2018年に既存の制度よりもっと透明度の高い、納得性のある評価制度へと刷新するために、コンサルタントと協議を続け新評価制度を構築し、昨年、運用を開始しました。等級制度によって、給与や評価される行動の「ものさし」がはっきりと分かるようになり、どのように動けばよいかが明確になったと思います。評価についても年次人事評価の結果が数値で表示されるため、評価される側もわかりやすいものになったと思います。
この制度は国籍を問わず、全社員が同じ評価基準となりますので、属性のボーダーのない平等で公正な制度です。
日本人より外国籍社員が評価されることもあれば、若手が中堅社員より評価されることもある。競争と共創によってイノベーションを生み出せるコミュニティであってほしいと思います。

ーより良い環境創りのため、日々改善を重ね変化していくALJ。今後の変化も楽しみです。