ALJ Education Plus 株式会社 CEO
山本 篤美 Yamamoto Hiromi
2006年 株式会社アドバンスト・リンク・ジャパン(現 株式会社エーエルジェイ)創業1年目に技術職として入社。2010年 大規模開発を主とするIT事業本部(現ICT事業本部)主任に就任。2013年 合同会社プラスアイを設立し独立。スマホアプリ開発及びスクール事業を開始。 2015年 ALJグループにボードメンバーとして復帰参画。IT教育専門会社 ALJ Education Plus株式会社設立、代表取締役就任。2016年 LPI-Japan アカデミック認定校許認可。2019年 LPIC-日本支部 Platinum Partner許認可。2020年 DX技術専門戦略会社 ALJ DXTech株式会社設立、代表取締役就任。2021年 株式会社エーエルジェイ執行役員就任。現在、グループ会社経営と並行してALJグループ中枢の経営戦略本部において全ALJグループの教育部門を統括する
ALJグループの中で教育を専門とする、ALJ Education PlusのCEOであり、ALJグループの教育責任者である山本代表に、教育やエンジニアの将来について伺いました。
-ALJ Education Plus(以下ALJEP)のCEOになった経緯を教えてください。
経営者である父の影響で、高校から商業高校に入学し情報処理と簿記の資格を取りました。経営に興味があったので大学で経営学を学び、卒業後は医療の営業や不動産の仕事など様々な仕事を経験し、2006年、転職を考えていた時にSNSで釘嶋社長と出会って設立されたばかりのALJにエンジニアとして入社しました。以前から20代は企業に勤め経験を積み、30代からは経営をやると決めていたため、エンジニアとして自立できたと実感した頃にキャリアを次のステージに進めようと思い、ALJを一度退社したんです。その後はフリーランスとして営業経験を生かしながらアプリ開発講座の講師を勤め軌道に乗っていた時、再び釘嶋社長と再会し、ALJグループのIT教育を担う子会社設立の話を受け、2015年ALJEPのCEOに就任しました。
ALJEPの役割は、グループ内で一貫した教育を担うことと、オープン講座などに学びに来た意欲ある生徒と教育を通じたコミュニティを作り繋がりを持つことだと考えています。そうすることで、将来仲間になったり、ビジネスパートナーになったり、お互いがシナジーを産む関係になることを期待しています。私自身、ALJEPのCEOとしての今があるのはそうした繋がりがあったおかげです。
-教育理念について教えてください。
「個々の価値観を尊重し、IT教育を通して一人一人の夢(目標)に向けての地図(経路)を提供していくこと」「世界に通用するグローバル人材へと成長させていくこと」を教育理念としています。これは、ALJが掲げている個々の価値観を大切にすることと、遠回りしないで「最短距離」で生徒に目標達成することをサポートするという意味を込めています。
-IT講師とはどのような仕事ですか?
講師の役割は、医者のように生徒の問題点を見つけ、指導し、できる人に育てることだと考えています。講師は、ITの資格を容易に取得できる人よりも、資格をとるために試行錯誤して取得した人の方が、生徒の気持ちを理解でき、同じ立場で考えることができるので、優しく丁寧に分かりやすく指導できる傾向があると考えています。
-コロナ禍においてIT教育にどのような変化がありましたか?
大きな変化は、お客様から、『非対面の授業にも対応してほしい』とリクエストをいただくことが増えたことです。ですが対面授業を希望されるお客様もおり、どちらでも対応できることが必要になりました。今季はリモート授業が増えたことで培ったノウハウを生かし、少人数制のオープン講座を始めることができました。
-少人数にこだわる理由はなぜですか?
少人数制は結果が出やすいです。一人ひとりに講師の目が届くことで、生徒が真剣な姿勢で授業に向き合い、理解力が上がる傾向にあります。
-お客様からの要望に変化はありましたか?
リモートが増えたからこそ、成果を見える化することが求められていると感じます。見える化とは、教育を受けたことで目に見える結果を出すことです。結果を出すとは、言語を学び資格を取ることだけではなく、現場で動ける人材に育てるということも含みます。そのため、エンジニアとしての経験や価値観について話してほしいとご要望を受けることが多いです。
-現場で動ける人材を育てるとは具体的にどのような人のことだと考えていますか?
「動ける考え方が身についている人」だと思います。ALJEPでは、「質問の仕方」「調べ方」など、仕事の上で必要な考え方を意識して教えています。新人はコーディングの経験値が低くて当たり前。それよりも仕事の効率化を身に付けてもらうことが重要だと考えています。プログラミングができることよりも、仕事の効率化を意識し、経験したことを身につけることが大切だと考えています。また、自分では判断ができないこと、権限がなくできないことなどは解決してくれる人等の、ステークホルダーを把握し動けるようになると仕事のスピードが上がります。
|教育業界の今後をどう考えていますか? 今後はリモート配信が教育業界の主流となっていくと思います。教育と医療業界は200年の間、大きな変化無く対面での対応が主流でしたが、新型コロナウィルス感染対策をきっかけに非対面・遠隔のオンライン対応が広がっています。現在はまだ教科書を画面に写して読むなどのデジタイゼーションの段階ですが、今後、5GやDXなどの技術革新が進むと思いますので、業務プロセスが効率化(デジタライゼーション)され、会社や学校などと他の会社と連携することで新たな価値提供(デジタルトランスフォーメーション)顧客体験が確立されると思います。
-今後IT業界で活躍する人材が身につけるスキルはどのようなことだと思いますか?
変化に対応できるスキルだと思います。今後、記憶や演算、類推などはコンピュータの仕事になっていきます。少し前にノーコードが話題になりましたが、今後は言語を学ばなくてもソースコードを書かずにソフトウェアを開発できるサービスが普及してくると思います。そのような技術の進化もあり、IT業界の人材は2極化していきます。コーディングに特化し同じような仕事を続けるエンジニアとビッグデータやAIなどを活用し新しい価値に繋げていくことができるエンジニアです。前者に関しては、プログラミング教育は2020年から小学校の必須科目となりました。今後は小さい頃からプログラミングに触れてきた若者が育ってくるので私たちは勝てないと思っています。その代わり、今までの経験や知識を生かして新しいものを創造する仕事がこれからの仕事であり活躍できるスキルです。また、昨年サービス開始された5G、今後開始される6Gなどの通信系の仕事は今後も活躍できるチャンスがある分野だと思います。
-技術が進化してもコミュニケーションは欠かせないものだと思いますが、仕事におけるコミュニケーションをどう考えていますか?
同じレベルで話ができるか、指示されたことをきちんとできるかが大切だと思います。仕事を頼まれた時にコミュニケーションミスが起きないよう、自分の言葉で聞き返し確認する。はい。はい。と簡単に返事をしてしまう人は理解していないことが多い印象です。
-グループ内で教育を担う立場として、今行っている施策はどのようなものでしょうか?
強い組織を作るため教育戦略を立てて、実践しています。そのためには求心力と帰属意識の強化が必要だと考えています。求心力を上げるためには、役職者がALJの一員であるという帰属意識を持ち、自分の部署の方針を決め、目標を達成することに責任を持つことが必要です。この責任感によって他の社員への求心力と帰属意識が強化されます。
会社の成長を加速させるためには、大企業の考え方を取り入れないと作れないと考えています。今後大企業出身で知識を持った人をALJの仲間として増やしていければと思っています。
-ALJのエンジニアとして意識するべきことはなんだと思いますか?
顧客が求めている以上のサービスを提供することを意識し、動くことです。
事業部とは、経営資源である「人」「モノ(サービス)」「お金」「情報」に合わせて存在しており、ICT事業本部はモノ(サービス)を提供する事業部です。お客様が求めている顕在化したニーズを提供するのは当然ですが、それ以上に満足していただくには潜在的なニーズを引き出すようなコミュニケーションが必要です。
お客様のニーズを知るためには、話を聞くきっかけを見つけ、定期的にヒアリングをすることや、ニュースで最新の情報にアンテナを張っておくなど、定期的に情報を集めることが必要となります。また、世の中の様々な人の価値観や考え方を知り、視野を広げることも大切です。
先輩や年上の人の経験値や知識を自分のものにすることは、失敗しない成功の方法を手に入れることにつながります。そのためには人に好かれることも必要です。好かれるためにはアドバイスを素直に取り入れ行動することです。
ALJでは、私たちはサービス業であるという話をよくします。一人ひとりがその意識を持つことで「ICTを全てのお客様に」という企業理念に沿った、お客様に満足して頂けるサービスの提供ができると思います。
-ありがとうございました。教育・営業・経営者としての視点で見る山本さんがALJに与える変化が楽しみです。